「十三夜」はいつ?日が毎年変わる仕組みとその由来は?

リンちゃんさー、前に「十五夜」のこと教えてもらったんだけどさー、「十三夜」っていうのもあるよねー

ほー!「十五夜」のこと覚えてるんだね!
でも、中身は覚えてないんじゃないの?

バカにすなー!!覚えとるばい!あほかー!

ゴメンゴメン! 試してみただけだから怒らんといて!
じゃ言うからね。「十三夜」っていうのは、「十五夜」の約ひと月後にくる「お月見」なんだよ。

え、またやるの?お月見!暇なんだなー!

暇なんかじゃないよー!
昔の人にとっては、秋は農作物の収穫への感謝と、それに、気候も良くて、お月さまがきれいに見える時だからお月見をして楽しんだんだよー!

へー、ま、その時代にはテレビもスマホもなかったんだろうから、お月見を楽しみにしてたんだろうね。うんうん。

ほー、カウちゃんは昔の人の気持ちが分かるんだー。
成長したねー!
じゃ、詳しい「十三夜」の由来やそれがいつなのかなどを書いとくから読んどいてね!

へーい!

「十三夜」はいつなのか?その読み方と由来は?

「十三夜」は旧暦の9月13日です。

「十三夜」というのは日本独自の風習です。
読み方は「じゅうさんや」と読みます
「十五夜」は中国から伝来したものですが、「十三夜」は「十五夜」から派生して日本で独自に作られたものです。
その起こりは一説では寛平法王(宇田天皇が出家後の呼称)が延喜十九年(西暦919年)の旧暦の9月13日に月見の宴を開かれたことから発したという説があるということとなってます。

「十三夜」は旧暦の9月13日を指すのですが、新暦に換算した場合、残念ながら、一定ではありません。
理由は旧暦と新暦の仕組みの違いにあります。

新暦の仕組みは、12カ月のうち一ヶ月の日数を28日(4年に一回は29日)が1回、30日が7回、31日が4回となってます。

対して旧暦では、ちょっと複雑なのですが、一ヶ月を29.5日と平均化して一年としていますが、そこには自ずと季節のずれが生じてきてしまいます。

それを補うために、数年に一回(計算上から年数も決められている)、ひと月分を一年のうちのどこかに足す(うるう年)仕組みなのです。

したがって、旧暦と新暦を求める場合、その影響で「十三夜」も一定ではなくなってくるのです。

因みにここ10年間の旧暦9月13日の「十三夜」の新暦での日付けを例に揚げてみます。
2018年 10月21日
2019年 10月13日
2020年 10月29日
2021年 10月18日
2022年 10月8日
2023年 10月27日
2024年 10月15日
2025年 11月2日
2026年 10月23日
2027年 10月12日
(出典:六曜・月齢・カレンダー[http://www.ajnet.ne.jp/diary/]より)
以上となります。
こういった毎年の「十三夜」の日を求めるには、いくつかの要素を加味して計算しなければならず、非常に複雑です。
もし「十三夜」を知る必要がある場合はインターネットで「旧暦 新暦 カレンダー」などで検索して旧暦入りのカレンダーで調べた方が簡単です。
参考にされて下さい。

「十三夜」の「十五夜」との関係は?

「十三夜」は「十五夜」と対をなしています。
「十五夜」は旧暦8月15日で約ひと月早く、別名を「中秋の名月」と言われます。
「中秋」というのは旧暦では7、8、9月が秋と定義づけられており、8月15日は「秋全体の中日」ということで「中秋」と呼ばれています。

そしてそれに対して、「十五夜」のひと月後に来るので「十三夜」は別名を「後(のち)の月」とも言います。

ちなみに「仲秋」(「中」に「にんべん」が付いている)という言葉もありますが、これは7月と9月の間ということで8月全体をさす言葉です。

ですから、「仲秋の名月」と書くと「8月の月」のことを指すことになります。
「中秋の名月」とはまったく違う意味になります。

関連ページ:「十五夜(中秋の名月)」には「お月見」をしよう

「十三夜」には別の呼び方もあります。

「十三夜」の呼び方は別にいくつかあります。
例えば「十五夜」を別名で芋名月ともいいますが、
「月見」は作物の収穫祭の時期でもあり、その旬の食べ物に感謝を表してお供えするのと合致していました。

ですから「十三夜」でも同じように豆名月や栗名月と言われていて、その時の旬の食材をお供えしたというところからでも来ているのです。

現代みたいに農作物が何でも手に入る時代ではなかった訳ですから、お供えするのも、その時期の旬の食材に限られたというのも分かりますよね。

また、それだけ食料が貴重だったから、食物への有り難味も一層、感じられたのではないでしょうか。

現代は飽食(ほうしょく)の時代などと言ってますが、現代人もその時代の人を見習って、折々に食物への感謝を忘れずにしなければいけませんね。

その日は何をするの?

                                      ※お供えイメージ

月見は「十三夜」も「十五夜」と並んで、美しい「月」が見られる時期です。
むしろ、「十五夜」よりもひと月遅い10月(11月の場合もある)の「十三夜」の方が台風なども少ないし、気温も下がって、心地よく外での鑑賞に合ってるかもしれませんね。

さて、そのお供えものですが、月見だんごをメインにして、前項でも出てきていた豆類や栗でもいいです。

それ以外でも、その時期の旬の作物の収穫祭を意識したものをお供えすればいいかと思います。

常に食物へ感謝をしながら、月を愛でましょう。

どこか風情を感じる言葉「十三夜」。
数々の曲のタイトルや歌詞にも取り上げられている。

「十三夜」
世の中にはこの言葉の曲名や歌詞が入った曲があり多数あります。
下記にざっと並べてみます。
曲名に使用されている
・小笠原美都子 「十三夜」
「十三夜」という言葉をタイトルに使うきっかけとなった曲。戦時中に大ヒットした。
・中島 章 「十三夜」
中島章は奄美歌謡の第一人者。
・鈴木雅之 「十三夜」
シンガーソングライターのさだまさしさんが作詞作曲した曲で、この曲を聞いた笑福亭鶴瓶が感動して号泣した逸話もある。
・榎本美佐江 「おぼろ月十三夜」「忘れ時の十三夜」
榎本美佐江は戦時中にヒットした小笠原美都子の「十三夜」をリバイバルで歌って再ヒットさせている。元巨人軍など投手として活躍した金田正一の元妻でもある。
・美川憲一 「十三夜月」
作曲家の三木たかし氏の七回忌をしのぶ企画で収録したアルバムのタイトル。同名の曲も収録。

アルバム名
・西島三重子 「十三夜」
名曲「池上線」を作った西島三重子のアルバムタイトル。

いかがですか?
なぜ、「十三夜」がこれほどまでに取り上げられているのでしょうか?
むしろ、「十五夜」の方が有名なのにです。

一言で言うなら「十三夜」という言葉の響きには、なにか「不完全さを感じるから」ということではないでしょうか?
それはなにか情緒的なものが連想されます。

対して「十五夜」というのは即「満月」が連想されます。
「満月」は完全な月の形です。
たしかに夜空に浮かぶ「十五夜」の月は完全な形をしていて、直感的にもとても美しいと感じます。

「月」の満ち欠けの仕組みは新月から15日後に満月になり、そしてまた新月にもどり、また満月と繰り返します。(厳密には多少のずれがありますが。)

その繰り返しの中で「十三夜」は満月まであと2夜を残し、不完全なのです。
そのイメージは、何かもの悲しく、憂い、繊細さを感じられるのでないでしょうか。

そこに、作家は惹かれたのではないでしょうか?

「十三夜」を恋に例えるとしたら、成就出来そうで出来ない恋、もどかしい恋、これから成就していく恋などが連想されてきます。

そういった「十三夜の月」のイメージがぴったり恋物語に合わさって、そして歌が作り上げられて来たのではないのかなと思います。

一度、そんなイメージで上記に挙げている作品を鑑賞してみられたらどうでしょうか?

ある伝説


「十三夜」には嘘か誠か奇妙な言い伝えがあります。

それは8月15日の「十五夜」、ひと月後の「十三夜」のどちらか一方しか祝わなかったら「縁起が悪い」というものです。
これは「肩月見」または「片見月」といいます。

出所の詳細ははっきりとは分かってませんが、一説では江戸時代のある遊里(遊郭が集まった地域)からという説があります。

遊里へ来るお客が「十五夜」だけにしか来ない客は縁起が悪いといううわさを、言い出したということが発端ではないかということなんです。

まあ、言ってみれば、「だまし」ですね。
「2回目の月見の夜に来ない客は、よく悪いことが起きるんだって!」などと「十五夜」に来た客に言ってたんでしょうね。
それで客をリピートさせてたという具合ですね。
(いまではあまり効き目はないと思いますが・・・)

それが、「片見月(片月見)」と名前が付いて一般的に広まったという説ですね。
この類の迷信というのは、そんな他愛もないところから広まっていくのが常ですね。
それが本当であれば、今も昔もマーケティングは必要だったのかもしれません。

しかし、例えそんな迷信を抜きにしても、この時期の2回の秋の月見は非常に風情があって、月を眺めるだけで心が落ち着くのは紛れもなく真実です。

どうぞ、心いくまま、十三夜の月を愛でましょう。

まとめ

「十三夜」は「十五夜」よりも気候的に適しています。
なぜならば「十五夜」は新暦では9月上旬から下旬ですから、「秋雨前線」があり、年によっては「梅雨」と並んで、降水量が多い時もあると聞きます。
よってそんな9月に「十五夜の月」が見られる確率は下がります。

対して10月上旬から下旬にくる「十三夜」の方が、それよりもグッと見られる確率あがります。
さらに9月はまだ夏の暑さの余韻が残っていて、心地いいとは言えません。

それに比して「十三夜」は気温も湿度も適度で心地よく、月を眺めて物思いに更けるのにも好環境です。

落ち着いた10月の「十三夜」の日には、上に挙げた「十三夜」の曲でも聞きながら、晴れた空を見上げ、遠い昔の風情を思い浮かべながら「後の月」を鑑賞されてみたら如何でしょうか。

最後までお読み頂きありがとうございました。