ねー、リンちゃん、「文化の日」の「文化」っていったい何なの?
んー、ほんと「文化」って言葉は、判ってるようで判ってないんだようねー。
なんか、もぁーってしてるんだよねー。
わかるわかる、でもこう考えると間違いではないと思うんだけど。
どんな?
つまりー、人間が作り出した全てってこと!
えっ?どういうこと?
例えば建物、服、料理や車、芸能やそれから思想などなどまで人間が生み出した全部ね!
そうねー、「自然」の反対ってことかな。
ふうーん、全部ねー?なんか判ったようで判んないようで―・・・。
「文化」の定義
①文徳で民を教化すること。
②世の中が開けて生活が便利になること。文明開化。
③人間が自然に手を加えて形成してきた物心両面の成果。衣食住をはじめ科学・技術・学問・芸術・道徳・宗教・政治など生活形成の様式と内容とを含む。文明とほぼ同義に用いられることが多いが、西洋では人間の精神的生活にかかわるものを文化と呼び、技術的発展のニュアンスが強い文明と区別する。
そもそも文化とは、究極、「自然」以外のものと考えればいいのではないでしょうか?
地球に人類が誕生して以来、生き残る為、よりよい生活を楽しむ為、また共存共栄をする為に作り出した物、思想などあらゆるもの全てが「文化」と考えられると解釈します。
「文化の日」の由来
「文化の日」の趣旨。
「文化の日」の趣旨は、
「自由と平和を愛し、文化をすすめる」
であります。
国として国民としてお互いの自由を認め、お互いの思想を認め、平和を心掛けて、それを基本することによって、始めて文化を発展させることができる意義を改めて考える日だと考えます。
「文化の日」は昭和23年(1948年)に公布・施行されています。
日本国憲法が公布された日が「文化の日」?なんで?の訳
11月3日は日本国憲法公布の日です。
正確には昭和21年(1946年)11月3日であり、第二次世界大戦終結の翌年1年3ヶ月後になります。
ちなみに5月3日が国民の祝日「憲法記念日」となっていますが、その日は日本国憲法の施行が行われた日ですね。
ただ、どうしてこの11月3日が「憲法記念日」とならなかったのかという話があります。
実は当初、国は日本国憲法の公布の11月3日を「憲法記念日」とする予定ではあったのです。
ところが当時は終戦直後でまだアメリカの占領下にあった為、GHQ側に強硬に反対(次項でその理由は記してます)されていて、日本側も抵抗はしたものの断念せざるを得なかったのです。
ただその後、GHQ側から提案があり、この11月3日を記念日とするのであれば、「憲法記念日」という名称以外であればなんでもいいという話が上がり、それで「文化の日」ということに落ち着いたということです。
よって日本国憲法の理念である自由と平和に基づくということで、この「文化の日」は決められたのです。
これまで
「日本国憲法」の公布の日が「文化の日」?ん?
若干、この「文化の日」になにか違和感がありそうでなさそうな気がしてましたが、こういういきさつがあったのですね。
11月3日は「文化の日」以前も休日だった。
11月3日は国民の祝日「文化の日」が制定された以前でも祝日でした。
実は11月3日は第二次世界大戦の終戦までは国民にとっては大切な日だったのです。
それは日本の礎を築いた明治天皇の誕生日だったからです。明治天皇は1852年11月3日に生まれて1912年7月30日に亡くなっています。
この日が祝日となったのは、明治6年(1873年)からとなっており、明治天皇が存命中つまり、大正元年(1912年)までは「天長節」と呼ばれていました。
そして、その後の大正時代から昭和に入ってからは、「明治節」と名前を変えて、祝日として存続していたのです。
明治天皇は大正から昭和の時代に入っても国民から大変な尊敬を受けていました。当時は明治天皇は日本の象徴としての存在だったのです。
それゆえ、それを知っていたGHQが11月3日を「憲法記念日」名前で残したら、日本全体がこの日を象徴的な日として、ふたたび戦争をひき起こしかねない、と恐れてこれを阻止したのです。
ですから、前項でも記したように、日本側の希望もあり、この日を「文化の日」という名称で残したのです。
「文化の日」の行事
文化勲章の授与式
この日は文化勲章の授与式が行われます。
文化勲章とは国民(外国人も含めて)の中から、芸術や科学技術などの文化にまつわることで、とくに目覚ましい功績を挙げた人に授与されるものです。
昭和12年に制定されました。
毎年、この時期になると新聞やニュース番組などで世間を賑わせていますからご存知かと思います。
その選考は文化庁の文化功労者選考分科会が選定して、文科大臣が推薦して、さらに内閣府賞勲局というところで審査された後、閣議で決定されることになっています。
授与式は皇居宮殿松の間で行われ、今上天皇より直々に授与されます。
毎年の受章者数は、特に決まってませんが、近年ではだいたい5名から7.8名が受章しています。
文化庁主催等の芸術祭
文化庁芸術祭は,広く一般に優れた芸術の鑑賞の機会を提供するとともに,芸術の創造とその発展を図り,もって我が国芸術文化の振興に資することを目的として昭和21年以来毎年秋に開催される芸術の祭典です。
文化庁は毎年「文化の日」を中心とした約2か月間に芸術祭が行われています。
その中身は「文化庁の主催公演」、「文化庁の協賛公演」、「芸術祭に参加を希望する演劇・音楽・舞踊・大衆芸能の4部門の公演」、さらに「テレビドラマ・ドキュメンタリー・ラジオ・レコードの4部門の芸術祭にふさわしいと認めた作品」が参加して行われます。
そして、それぞれの部門の中でお互いが優れた公演、作品を競い合い、文部科学大臣賞を贈られることになっています。
文化庁芸術祭の情報は文化庁芸術祭について)からご覧ください。
この日には全国の博物館・美術館の無料開放施設が多数あります。
「文化の日」には全国の博物館、美術館のみならず、各地の施設で「無料開放」やイベントなどを行なっているところが多数あります。
この機会にお近くの施設にお出かけされたら如何でしょうか。
日常を離れて、思いがけない発見や発想があるかもしれませんよ。
ここでは主な施設をご紹介してみたいと思います。
●東京国立博物館
明治5年(1872年)に創設された国内最古の博物館。東京の上野恩賜公園内にあります。
5つの展示館他、資料館などからなる施設となっています。
国宝級や重要文化財などからその他一級品が多数展示されていて見ごたえあるものばかりです。(無料は常設展のみ)
東京国立博物館 お問い合わせTEL03-5777-8600(ハローダイヤル)
●国立科学博物館
この博物館は3つの施設があります。
東京の上野恩賜公園内と付属自然教育園と茨城県つくば市の筑波実験植物園があります。(無料は常設展のみ)
国立科学博物館 お問い合わせ TEL03-5777-8600(ハローダイヤル)
●国立西洋美術館
この美術館は美術品を収集していた実業家の松方幸次郎の所蔵を基に展示されている美術館です。美術館の建物としても世界文化遺産に登録されています。(無料は常設展のみ)
東京西洋美術館 お問い合わせTEL03-5777-8600(ハローダイヤル)
●東京国立近代美術館
日本で最初に出来た国立美術館。
同時代の美術を常時見ることが出来る展示施設として誕生しました。
現在の美術館は2代目で中央区京橋から移転して建てられたものです。
東京国立近代美術館 お問い合わせTEL03-5777-8600(ハローダイヤル)
●千葉県立房総のむら
こちらは美術館や博物館とは違った、実際に体験して楽しんでもらう施設となっています。
まさに「文化の日」の名にふさわしい施設ではないでしょうか。
広大な敷地に古墳群や武家屋敷、昔の商家などいろんなカテゴリのむらがありそれぞれで体験していく施設となっています。とくに「文化の日」にはふるさとまつりがあり盛り上がります。
千葉県立房総のむら お問い合わせTEL0476-95-3333
●NHKスタジオパーク
NHKでは毎年NHK文化祭というのが「文化の日」近辺の10月半ばから11月初旬までの期間で開催されてます。
NHKで放送されている番組の体験コーナー、VR体験など大人から子供まで楽しめる企画を行なってなっています。
※コーナーなどによっては予約が必要な場合がありますので、NHKにお問い合わせ下さい。
国民の祝日としての「文化の日」について。
何故、ハッピーマンデーにはならないのか?
「文化の日」は「ハッピーマンデー」にはなりません。
それは、前項でもお話した通り、元々、この日は「文化の日」と呼ばれる以前から「天長節」、「明治節」と言われていて明治天皇の誕生日ということだからです。
11月3日というのは、昔から国民にとっては大切な日ということなのですね。
ですから、これをもしずらしてしまうと、祝日の意味を為さなくってしまうことになるので、今後も「ハッピーマンデー」扱いにはならないでしょう。
「ハッピーマンデー」というのは、これまで例えば「成人の日」は1月15日というように「日」が固定化されていた祝日を、「月曜日」に固定化するというものです。
その目的というのは、そうすることによって自ずと土・日・月(あるいは日・月)の連休が増えることになり、国民の生活にゆとりある生活を実現させる為ということで決められたものです。
したがって「ハッピーマンデー」の表現は「〇月の第〇月曜日」ということになります。
振替休日にはなるのか?
「文化の日」はその日が日曜日になった場合のみ「振替休日」になります。
これは先の「ハッピーマンデー」とは違い、「文化の日」が日曜日になった場合でも、11月3日が「文化の日」と名称は変わりません。
したがって翌日の月曜日(その日が別の祝日の場合はその翌日)が、1日少なくなった休日分が振替となり、その日は単に「振替休日」という名称で休日となるからです。
祝日が日曜日の場合、つまり祝日と日曜日が重なった場合は、平たく言えば休みを1日損したようになりますよね。
そこで、その損を取り戻すべく、その翌日の月曜日もしくはその日が別の祝日の場合はその翌日を休みとする制度です。(土曜日が祝日の場合は適用不可)
「文化の日」から「明治の日」へ改称?
「明治の日」への動き。
「文化の日」の名称を「明治の日」に替える動きがあります。
自民党の国会議員でつくる「明治の日を実現するための議員連盟」によって、その祝日法改正案を提出しようという運動です。
先述したように、11月3日は戦前、戦中までは明治天皇の誕生日ということで「明治節」でしたね。
その「明治」は近代化が始まった時代として、その礎を築いたその先人への敬意を表し、国民にその功績を刻み込んでもらい、未来を切り開いていこうという趣旨で、この象徴的な日を「明治の日」に改称していこうという運動ということです。
その運動は徐々に拡大されているということです。
まとめ
「文化の日」はどうして11月3日なのか?
本項でもお話しした通り、本来は明治天皇の誕生日だったのですね。また、昭和に出来た「日本国憲法」の公布の日でもあります。
しかし、この二つ出来事は無関係ではなく、まさに繋がっていると考えます。
そう、昔から日本人にとって「天長節」「明治節」と繋がってきた日を、当時、敗戦でアメリカの占領下にあった日本で日本人が残したいと考えるの当然のことで、故意に「日本国憲法」の公布日を「明治節」だった11月3日にしたのです。
そしてその日を「憲法記念日」という名称にしようとしたが、GHQから待ったが掛かった為、あえて歴史的な名称は避け、苦肉の策で「文化の日」と決めたのです。
改めて考えれば11月3日は「文化」とは「日本国憲法」が「自由と平和を愛し、文化をすすめる」という趣旨以外では「文化」にはあまり関係がないのです。
今、再び11月3日を「明治の日」に名称を変える運動があることを話しました。戦後80年の月が経ち、世界情勢も混沌としてきています。
遠くなった「明治」への回顧も、もしかしたら必然なのかもしれませんね。
しかしながら「文化の日」が「明治の日」に変わることに、拒否するつもりはありませんが、この70年以上という長い年月で親しんできた、この意義深い「文化の日」も、あえて残していければと考えます。
最後までお読み頂きありがとうございました。