カウちゃん、ここでクイズです。「小春日和」って春か秋か?ドッチ!
コハルビヨリ?なにそれ!聞いたことないわ!「春」がついてるから春なんじゃないの?
ぶーッ、残念でしたー!秋でしたー!カウちゃん「小春日和」って聞いたことないの?
そんなコハルビヨリとかいう言葉使うやつなんか友達にいないもん!
そうかー、無理もないよねー、みんなカウちゃんレベルだもんねー!
コノヤロー、バカにすなー!
ゴメンゴメン、今、知らない人が多いみたいだから気にしないでね!
「小春日和のいつ」を間違えている人が多い!
文化庁の「小春日和」についての世論調査。
気づいてますか?
「小春日和」が「春」のことじゃないってこと。
その時期を間違えて認識している人がかなりいるらしいんですよ。
実は恥ずかしながら、以前は私もその一人だったんです。
私の場合は間違えていたというよりも、その言葉自体を考える機会がなかったというのがホントのところです。
ここに文化庁ホームページに「小春日和」についての世論調査がありましたので載せて置きます。
文化庁がアンケートを実施するくらいですから、如何に同じように認識している人が多いかっていうことですよね。
とりあえず見て下さい。
(ア)の答えが正しいのですが、(イ)が意外と多いですね。
初めてこの「小春日和」を聞いたり見たりしたら、暖かい晴れた春の日なのかなと思うことも無理はないと思います。
手紙やメールでも書く時に春の日に「今日は暖かい小春日和でのんびりしてます」などと書いてしまいそうですよね。
(ア)の答えと「わからない」を除いて間違っているのが、46.6%ですから、ほぼ半分が間違って認識しているってことになります。
ひとつの言葉として、この結果は問題です。
しかもこのアンケートでも堂々と答えているというところに、この問題の深さがあるということが言えると思います。
その「意味」をしっかり理解しよう!
春が付いた時点で、その時期は春だと考えることは不自然ではないかもしれませんが、春の前に「小」が付くと違ってくるのです。
それを解説します。
その時期は春ではなく、晩秋から初冬です。
まず、その時期は晩秋から初冬です。
現在の10月下旬から12月上旬あたりになります。
日本列島も南北に長いですから、各地方によって、多少のずれがありますが、日本での一般的な時期では、秋が深まりさらに初冬になる時期で、いよいよ気温も下がってきて、暖房がなくては暮らせないような時期ですね。
この季節特有の移動性高気圧により、晴れたおだやかな日を指しているんですね。
その語源を知れば、もう間違えない!その応用もバッチリ!
さて、それではその語源とは何なんでしょうか?
まず「小春日和」の「小春」という言葉は陰暦に関係しています。
陰暦とは今の暦よりも前に使われていた暦で、それには数字月の他にそれぞれに名称がつけられていました。
例えば、1月は睦月(むつき)、2月は如月(きさらぎ)、3月は(やよい)などです。
あなたも聞いたことがあると思います。
その名称は各月に複数づつあり、その中のひとつが「小春(こはる)」です。「小春」は10月の名称なのです。
10月は一般的には「神無月(かんなづき)」が有名ですが、「小春」でもあるのです。
その陰暦での10月(小春)が、新暦10月下旬から12月上旬にあたるということなのです。
「小春」の「小」が意味するもの。
さて、もうすこし掘り下げて見てみることにします。
何故、陰暦10月が「小春」なのかということです。
「小春」は「春」の前に「小」が付いていますね。
「春」の前に「小」が付けば、どんな意味合いになるのでしょう。
この場合の「小」は接頭語といいます。
例えば、名詞の前に「小」がついた言葉では「小石」「小山」「小鳥」「小降り」などで、「小」は小さいという意味の他に「わずか」という意味にもなります。
「小石」は小さい石、「小山」は小さい山、「小島」は小さい島、「小降り」はわずかな雨となり、それぞれに「小」が付けば、性質は同じだが独立したものになってくると考えます。
言ってみれば、「親」と「子供」の関係のようなものです。
よって「小春」のついても、まず親の「春」があり、それに似てはいるが別物の「小春」ということになります。
具体的には「春」に気候が似ている晩秋から初冬にかけてということでこの頃を「小春」と名付けたのだと考えます。
「小春日和」という言葉を使った楽曲や小説などある?
「楽曲タイトル」として、または曲中に歌詞として入っている。
●中島みゆき 「小春日和」
40年以上もの間に数々の大ヒット曲を生み続けているシンガーソングライターの中島みゆきが書いた曲です。
2017年11月22日発売のアルバム「相聞」の中に「小春日和」というタイトルで入っている。
●狩人 「小春日和」
昭和52年代のヒット曲「あずさ2号」の兄弟デュオの狩人が歌っている楽曲。
●ウィークエンド 「小春日和」
ウィークエンドは正式名を山本コータローとウィークエンドで、1970年に出した「走れコウタロー」で一世風靡したソルティシュガーのメンバーだった山本コータローのバンド。代表曲に「岬めぐり」がある。
この曲はあまりヒットしなかった。
●見沼天然温泉「小春日和」のイメージソング 「小春日和のうた」
埼玉県見沼市にある温泉旅館のテーマソングです。軽快で楽しい曲ですよ。
●山口百恵 「秋桜(こすもす)」の歌詞
昭和の歌姫山口百恵の代表曲の1つである「秋桜」に入っている。
さだまさし作詞作曲で1977年10月1日に発売された大ヒット曲。
映画・テレビ番組
●映画作品 「小春日和」A Warm Spell
監督は齋藤俊道
母親を病魔から救えなかった一人の医師が、その父、兄弟との葛藤を描いている名作。
新人監督映画祭グランプリやアメリカのクイーンズ・ワールド・フィルム・フェスティバル2016で最優秀短編作品賞を取るなど、国内外から高い評価を受けている作品です。
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小説・書籍
●「小春日和」野中 柊 2006年3月刊
本のタイトルは「小春日和」ですが、主人公である双子の姉妹の名前が「小春」と「日和」という名前から来てる話です。
内容は、小春日和を意識して書いているかは不明ですが、この双子がタップダンスに目覚めて、CM出演をはじめとした周辺の出来事と織り交ぜて、双子の成長を伸びやかに描いてある印象の小説です。
●「小春日和(インディアンサマー)」金井 美恵子 1999年4月刊
一人の大学生が小説家であるおばの家に住み、平凡な生活の中にでも、ちょっとした浮き沈みがありなど、まさに「小春日和」的生活を描いている。
欧米では同じような言葉はあるのか?
「小春日和」の海外の呼び名では「インディアンサマー」が一番、有名ではないでしょうか?
その他でもいくつかをご紹介します。
●「インディアンサマー」(アメリカ)
時期的には、10月下旬から11月上旬の時期ということで日本とほぼ同じ時期に使われる言葉だが、この呼び名の由来は諸説あります。
1、冬支度で食料を貯蔵する為に、この時期には夏の時期のように働くことでこう呼んだ。
2、インディアンが住んでいる地域の天候が「小春日和」のような日が多かった。
3、インディアンとの争いで、インディアンが土地を奪還しにくることが多い時期だった。
4、冬の前にインディアンの神様がキセルでタバコを吸い、その煙でわずかに暖かい日が来ることから。
などがあるそうです。
インディアンサマーは元々アメリカで生まれたものですが、近来では欧米で使用されている傾向にあります。
●「老婦人の夏」(中部ヨーロッパ)
中部ヨーロッパにおもに9月下旬~10月上旬に現れる「小春日和」の現象。日本とは緯度が違いからヨーロッパの方が早く現れることになる。
「老婦人の夏」の語源は晴れた日に日差しに蜘蛛の糸が輝いて、まるで老婦人の白髪のように見えるところからだそうです。
●婦人の夏(ロシア)
おもに8月下旬~9月上旬に現れる。これも緯度に違いで日本より早く現れる。
あとがき
私は「小春日和」と聞くと、秋の終わり頃、あとちょっとで冬という季節で、柿の木に柿がたくさんなっていて、その前の家の板張りの縁側を思い出します。
おばあちゃんがそこにちょこんと座ってて、横に猫なんかいて、その猫といっしょにじーっと動かないで温まっている様子が目に浮かぶんです。
昔は寒くても 電気コタツもなかった時代ですから、これといった暖房もないし、暖かいところといったら、晴れた日の縁側しかなかったんですね。
今の住宅は縁側はなくなりました。
洋風なものが多くて、暖房もちゃんとあるし、家自体が断熱材を使って、閉め切っていますので外に出てみないと暑いのか寒いのか分からなくなりました。
便利になったのはいいのですが、季節によって生みだされる風情というものがなくなりつつあります。
「小春日和」という言葉も、いまではテレビの天気予報で使われるくらいではないでしょうか。
死語に近くなっていくのがなにか寂しさを感じます。
便利さもいいのですが、せめて季節の移り変わりには敏感でありたいと思います。
最後までお読み頂きありがとうございました。